1995年に87歳で生涯を終え、飛鳥時代から受け継がれてきた寺院建築の技術を後世に伝えるなど、
「最後の宮大工」
と称された文化財保存技術者の西岡常一氏。
世界最古の木造建築であり、今なお世界中の観光客を魅了する奈良・法隆寺金堂の昭和の大修理を担当した人だ。
解体しながら、1300年の間、名も知らない歴代の棟梁たちが重ねてきた修理の跡を見て、古い形を保ちつつ新たな息吹を吹き込んでいく。
その苦心と工夫の妙を次のように語っていた。
「自分の作でありながら、自分の物でない。過去と未来をつなぐ仕事に、自分はない」
いつの時代も人々を魅了し、平等にお救いくださる上行所伝の御題目。
今、お互いがそのみ教えをいただいているのも、三祖聖人(日蓮・日隆・日扇聖人)はもとよりその他大勢の
「名もなきご信者方」
が、苦心して後世に受け継いでくださったお陰だ。