師走の候、ご信者ご一同におかれましては、ますますご奉公にお励みのことと随喜申しあげます。
今年も早、残すところあと僅かとなりました。
街の喧騒は「師走(しわす:僧侶も忙しく走り回る)」の名の通り、一年の務めを終えようとせわしなく、その響きが身にも心にも迫ってくることを感じます。
一年を振り返るこの時期、私たちは目まぐるしく動いた日々の出来事を整理し、来たる新年への準備を始めます。当山も例に漏れず、ご信者への感謝を込め、年末の行事を整え、清々しい気持ちで新しい年を迎えられるよう努めております。
さて、物理的な大掃除と同じように、この時期は「心の大掃除」を意識したいものです。
この一年、私たちは御題目口唱や参詣と、様々なご奉公に励んでまいりました。その中には、喜びや充実感とともに、煩悩や未熟さから生じた「心の曇り」も少なからずあるのではないでしょうか。
鏡が曇れば、映す姿も不明瞭になるように、心が曇れば、み仏のみ教えも正しくいただくことが難しくなります。
この年の瀬に、自身のご信心前を見つめ直す時間を持ちましょう。忙しいこの時期にこそ「お寺参詣」をすることが大事であり、このご奉公が私たちが行うべき最も大切な「心の大掃除」「心の修養」となるのです。開導聖人が
「口唱は心の掃除也けり」
(佛立開導日扇聖人 御指南『百座法門 三』扇全十二巻二三〇頁)
とお示しのように、お互いが参詣・口唱に励んで、たくさんの功徳を積み、心を立て直す時間をとりましょう。御宝前に今年一年の御礼と反省をさせていただくことで、自身の信心改良を心掛け、さらなる精進の心を持たせていただきましょう。
特に今月31日は、夜七時から除夜法会が奉修されます。
それぞれの心の大掃除、信心の大掃除を、家族そろって、大勢の参詣者と共にさせていただきましょう。今年は家族でご信心に励むことができたでしょうか。お教化をさせていただこうという志を持てたでしょうか。ご利益感得のために御法門聴聞ができたでしょうか。お仕事は、学校は充実できたでしょうか。口唱の中で振り返りましょう。
そのようにしてご一同と共に清々しい心で新年をお迎えし、御宝前のお護りのもと、より一層「法のともしび」を明るく輝かせていきたいと念じます。
どうぞ、ご自身とご家族の健康には充分留意し、良き年の瀬を過ごさせていただきましょう。











