「生きる智慧」を与えるのが本当の慈悲

令和7年12月 池本良説〈仏教のおはなし〉「『生きる智慧』を与えるのが本当の慈悲」本門佛立宗 清風寺

 経済学で「サマリタンのジレンマ」という概念がある。

 これは

「(善きサマリア人の)助けたいという善意の行為が、相手の自助努力を損ない、依存や怠惰を生む

という意味だ。

 エチオピアは1970~80年代にかけて深刻な干ばつと内戦に見舞われ、数百万人が飢餓状態に陥いった。

 この時に長期にわたる食糧援助が行われたが、結果的に自国農業の生産意欲や市場構造を損ねてしまった。

 1964年に日本政府からブータンに派遣された植物学者・農業技術者の西岡京治氏は、28年間にわたり稲作・野菜栽培技術の改善や農業インフラ整備などを支援した。

 ブータンの食卓には日本米や日本と同じ野菜が並び、今なお西岡氏による支援はブータン国民の生活と幸福を支えている。

 日蓮聖人は、何故に身命を惜しまぬご弘通ご奉公を貫徹されたのか。

 それは後世に「信心」を伝えるためだ。

 信心さえあれば、誰もが苦難を乗り越え幸福を掴むことができる。

 無償でモノを配り、イベントを開催してお客を喜ばすだけでは「法華経の信者」は一向に増えない。

「信心=生きる智慧

を伝えるのが本門佛立宗だ。

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