ある北欧の湖の畔に一人の老人が住んでいた。
彼は、この湖に渡ってくる野生の鴨たちに餌を与えるのが好きだった。
この湖は温暖で居心地も良く餌もらえるゆえ、鴨たちはしばらくそこに住みつくことにした。
ある日その老人が亡くなり、鴨たちは生きるために明日から自分たちで餌を探さなければならなくなった。
そんな時、上空を他の野鴨が飛んでいくのを目にする。
ハッとその習性を思い出し
「また餌を求めて飛べばいいんだ」
と思うが、醜く太ったその身体にはかつての野鴨の精悍さは見る影もなく、哀れにも鴨たちはただ死を待つこととなったのだった。。。
これは、コンピューター関連の世界的企業であるIBMの「我々は社員を大事にします」という社是の中に挿入されている話だ。
それは甘やかし、温々と飼い慣らすという意味ではない。
時には厳しく教育するが、それは渡り鳥の精神、野鴨の精神を社員には身につけて欲しいからだ。
法灯相続、教化子の育成も甘やかして放っておくと取り返しが利かなくなる。相手のためにも自分のためにも、手遅れになる前に慈悲あるお折伏を行おう。