「本気の叱責」によって人生を変えよう

令和7年7月 池本良説〈仏教のおはなし〉「『本気の叱責』によって人生を変えよう」本門佛立宗 清風寺

 現代社会では「叱る」ことが敬遠されがちだ。

 パワハラやモラハラという言葉が独り歩きし

「叱る」ことと「怒る」ことの区別がつかなくなっている。

 そのため人々は叱られる経験を避け、叱られること自体を「悪」だと捉えがちだ。

 仏教では「叱ること」こそが真の慈悲だと説かれ、御宝前様が御罰を与えてくださるのも教務がお折伏するのも、その人の仏道成就を本気で願っているからこそだ。

 パナソニック創業者の松下幸之助氏は、丁稚奉公時代にお客に対し失礼な態度を取った際、番頭から

「お前の態度はお客様だけやのうて店の看板にも泥を塗るんやぞ」

と烈火のごとく叱らたが、これがのちに「お客様第一主義」の礎を築く元となった。

 今を活躍するメジャーリーグの大谷翔平選手も、高校時代の監督から

「その姿勢は仲間を侮っている」

と集中を欠いた練習態度を叱られ、これを機にチームスポーツにおける人間性を磨く重要性に気づいたと語っている。

 成功者たちはみな、誰かの「本気の叱責」によって人生の転機を迎えている。叱られるのは「伸びしろがある」という信頼・期待の表れなのである。

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