現代社会では「叱る」ことが敬遠されがちだ。
パワハラやモラハラという言葉が独り歩きし
「叱る」ことと「怒る」ことの区別がつかなくなっている。
そのため人々は叱られる経験を避け、叱られること自体を「悪」だと捉えがちだ。
仏教では「叱ること」こそが真の慈悲だと説かれ、御宝前様が御罰を与えてくださるのも教務がお折伏するのも、その人の仏道成就を本気で願っているからこそだ。
パナソニック創業者の松下幸之助氏は、丁稚奉公時代にお客に対し失礼な態度を取った際、番頭から
「お前の態度はお客様だけやのうて店の看板にも泥を塗るんやぞ」
と烈火のごとく叱らたが、これがのちに「お客様第一主義」の礎を築く元となった。
今を活躍するメジャーリーグの大谷翔平選手も、高校時代の監督から
「その姿勢は仲間を侮っている」
と集中を欠いた練習態度を叱られ、これを機にチームスポーツにおける人間性を磨く重要性に気づいたと語っている。